今年の夏は、本当に暑くて長いと感じた人がほとんどでしょう。私も、お盆が終わってから「夏ばて」で、大変な思いをしました。さらにそれに追い討ちをかけたのが、「オリンピック」です。夏ばてにもかかわらず、連日連夜の夜更かし。睡眠時間4〜5時間の日が続きました。皆様も似たようなものではなかったでしょうか。
 ただ、オリンピックを見ながら、つくづく思ったことは、勝者と敗者の見事なまでのコントラストです。プレッシャーなどで、実力を出せぬまま涙をのんだ選手も沢山いました。
そのときに思い出したことがあります。今から二昔ほど前、机を並べたある僧侶のことです。なぜ彼が僧侶の道を選んだのか、社会に出れば間違いなく出世したであろう彼の人生を変えたものは・・・、
その昔、彼が一流大学に合格した日、周りから賞賛と祝福の言葉を投げかけられる中、ただ一人「不合格で涙にくれているものの気持ちを思いやれる人間になってくれ、それ以上望むものはない」という父親の言葉に出遭ったからだという述懐です。
今の世にあるからこそ、忘れてはならぬ大切なものがあるのだと、再認識しています。
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