皆さま「明けましておめでとうございます」本年も宜しくお願い致します。
さて、今年もまた先の見えにくい一年が始まりましたが、お正月にふと一休さんの後世に伝えられるエピソードを思い出しました。
 一休さんが風狂の僧侶として有名をはせているとき、ある大店の主人が一休さんに法事の依頼をします。快諾した一休さんは、指定された日時(たぶん旧正月の頃では)にその大店におもむき法事を済ませます。その時に主人が一休さんに「何か縁起のいい揮毫を頂けないでしょうか」と掛け軸用の紙と硯を渡します。「承知した」と答えた一休さんは、その紙にさらさらと
「 親死ぬ 子死ぬ 孫死ぬ 」
と書きます。それを見た主人が、かんかんになって怒ると、一休さんは平然とした顔で
「これぐらいめでたいことはあるまい」と応えたということです。
 よく考えてみるとなるほどその通りで、ものごとが順番よく順調に進んでいくことをあらわしているのです。私たちの生きるこの 娑婆(この世) では、なかなかそのようにはいきません。だからこそまずは今日の一日、今この一時を精一杯生きることに努めなければならないのでしょう。今年もまた皆さまと一つ一つの行事を共に大切につとめていきたいと思います。                合掌

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