年忌法要は、いつお勤めするのでしょう。
 まず、亡くなって一年後に勤める法事が一周忌です。また、亡くなった年を一年目として数えますので、二年後が三回忌となります。次に勤めるのが、六年後にあたる七回忌です。以後、十三回忌、十七回忌・・・と下記の表のようになります。

 法事は仏事ともいいます。意味するところは、縁ある人びとが集まってともに仏さまを敬い、その教えを聞き、僧侶を迎えて仏道を実践していく行事のことです。浄土真宗でいえば、阿弥陀仏を敬い讃えて、その本願のはたらきであるお念仏のいわれを聞き、お念仏の人生を歩むことを確認し合う集いといえましょうか。
 実際に私たちが行う法事といえば、亡き人の命日をご縁に勤める年忌法要(年回法要)を思いつかれることでしょう。もちろん、葬儀も満中陰も仏法の集いですから、法事です。この法事は亡き人をご縁に勤めることから、「亡き人のために」行う、いわゆる「追善供養」と思われがちです。すなわち、亡き人のために私たちが法事を勤めて善を積み、その功徳を亡き人に振り分けて、死後の世界で少しでもよいところに生まれてもらおうという考え方です。
 しかし浄土真宗においては、こうした「追善供養」は行いません。浄土真宗の教えでは、亡き人は阿弥陀仏の救いによってすでに浄土に生まれ、仏さまになっておられます。ということは、こちらから善を振り向ける必要はないのです。法事はあくまで、参拝者一人ひとりの「私のために」勤められる仏教行事なのです。
 仏さまとなられた亡き人を偲ぶとき、亡き人は私たちに「いつでもどこでもどんなことがあっても、けっして見放されない阿弥陀さまを依りどころにして、人生を歩みましょう。そして、私のいる浄土に生まれて、再び会いましょう」と願われていることでしょう。その願いを聞くのが年忌法要の大切な点です。

 また法事を勤めるのは、本来はやはり祥月命日に勤めるのが望ましいです。やむを得ず日を変えなければならないときは、命日からあまり離れない日を選びましょう。
 初七日  命日も含めて7日目
 四十九日  命日も含めて49日目
 一周忌  命日から満1年目
 三回忌  命日から満2年目
 七回忌  命日から満6年目
 十三回忌  命日から満12年目
 十七回忌  命日から満16年目
 二十三回忌  命日から満22年目
 二十五回忌  命日から満24年目
 二十七回忌  命日から満26年目
 三十三回忌  命日から満32年目
 五十回忌  命日から満49年目
 百回忌  命日から満99年目

おじいさんおばあさんの法要を一緒につとめるとき
 二つの仏事を一緒につとめることを「併修」といいます。つまり、併せて修するということで、この場合なら、たとえばおじいさんの17回忌とおばあさんの13回忌を同じ日に合わせてつとめる、ということになりましょう。
 こういうと、じゃあ、みんなまとめてつとめればいいということにもなりませんが、やはり併修するには、それなりの理由がなくてはなりません。まず第一に、複数の亡き人の年回法要が、一年を経過するかしないかの近い日につづくということ。さらに、その年回は七回忌以後の、ある程度の年月を経たもので、しかもご夫婦であるというような条件といえるでしょう。
 年回法要というのは、縁につながる人々が一同にあつまって故人をしのび、お寺さんを迎えて読経、法話をしていただくという、得がたい機会です。仕事や家事などで日常生活に追われている中で、亡き人やご先祖の年回を機縁に、ひととき仏事という場をみんなでかこみ、読経や法話をあじあう、いわば “ご先祖デー” “仏法デー”でもあります。むやみに併修することは、さけたいものです。
なお、併修の場合も命日よりおくらせてつとめないため、早く訪れるほうの故人の命日に合わせて日取りをきめます。
野々村智剣 著 「浄土真宗と親しくつき合う本」より抜粋